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NIH、動物実験を削減しヒトをベースにした研究を優先する方針を公表 New initiative aims to reduce use of animals in NIH-funded research

更新日:6月25日

(2025年4月29日付、国立衛生研究所(NIH)による標記報道発表の概要は以下のとおり)


NIHは、人間中心の科学研究を推進しつつ、動物実験の使用を段階的に削減する新たな方針を打ち出した。NIHの非動物研究モデルの開発方針は、食品医薬品局(FDA)が提唱する動物実験削減の最近の取り組みと一致する。従来の動物実験が依然として科学的発展に不可欠である一方で、開発予定の非動物研究モデルを適切に併用することで、従来は解明が困難とされてきた生物医学的課題が解決されることが期待されている。


一部の研究では、動物実験の結果をそのまま人間のアルツハイマー病や癌の治療に応用するには限界があると指摘されており、生理機能や疾患の特性における両者の本質的な差異があるとされる。近年の技術発展により、ヒトの情報を代替的に用いた研究ができるようになり、ヒト単独または動物モデルと組み合わせて、再現性、臨床応用性、効率性を高められると期待されている。こうした技術の例として、オルガノイド(ミニ臓器)や組織チップ、複雑な生体システム等を再現する計算モデル、集団単位での人々の健康状態を調査することが可能な実世界データ、などが挙げられる。


これらの研究を制度的に支えるため、NIHは所長室内に新たな部局「研究イノベーション・検証・応用局(Office of Research Innovation, Validation, and Application: ORIVA)を設置する計画である。ORIVAは、非動物研究手法の開発や活用に向けた取り組みを実施し、研究機関間の連携を促進する役割を担う。また、動物を用いない研究に資金を提供して、その成果の治療法としての実用化を支援する。さらに、NIHは毎年度、動物実験への資金削減状況とヒトを用いた新規アプローチへの増加状況を公表する。


[DW編集局]



CRDS研究開発戦略センター

 
 
 

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